top of page
Vol.42 いつからか土佐に。
土佐漆喰や土佐和紙、さらに碁石茶といった高知の伝統的な産物は、この土地にしかない貴重な技ですが、正確にいつからあったのか、最初につくったのが誰で、どんな状況だったのかといったことは、時を隔てる霧の向こうに消えています。
どんなに優れた技術であっても、誰かひとりがそれによって莫大な富を築いたりということがなく、場合によっては他所へ技術を教えることもいといません。土佐和紙などは明治になって全国の産地から頼まれて指導にいきました。そういう開けっぴろげなところをもったいないと思う反面、それが土佐らしさなのだということも受けいれている自分がいます。
いつからか土佐の地にあって、長い間受け継がれてきた技のある、暮らしまわりの文化の数々。文化果つる国、遠流の国などといわれながらも、風土と結びついた奥深い文化は脈々と流れてきました。たとえ技術をもっていたとしても、質のよい材料や気候風土がともなって初めて、形を成し得る輝き。水や湿度や太陽の光が、伴走してきた技術。それらの発祥が明らかになることは、ついにないのかもしれません。それでも、できあがったものたちは美しく、手渡してきたひとたちの手に磨かれて誇らしげにみえます。
2014-12-09 配信
bottom of page