top of page
Vol.41 秋の野菜の。 
 
 秋が深まってゆくにつれて、地元野菜の並ぶお店の棚が、発光するようにかがやいてきます。おもわずしらず見とれてしまうような、つやめく姿。しかも地元産だけに、お手ごろな値段です。農家のひとたちは、私たち消費者が期待する以上に、きれいな野菜をつくることに力をそそいでいますが、秋は野菜たちがもっとも優しい姿をしている季節ではないでしょうか。
 
 水煮をすませた四方竹など、細い穂先まで傷ひとつありません。茗荷は太ってみずみずしく、葉ものの抜き菜も種類ごとに味わいのある緑がありがたく。秋茄子の肌もピーマンの肩も、ぴんと張っています。トマトもすっかり現場復帰してきました。とれたての新鮮な野菜をどうやって食べようかと、メニューは野菜中心に考えてしまう秋です。
 
 ハウスで育てられる野菜は半期ごとの「夏秋」「冬春」にわけられていますが、夏秋栽培の野菜は夏の終わりに種をまいたもので、ちょうど晩秋にかけてが収穫のピークになります。そして高知では多品種の野菜をつくっているから、地の野菜だけでもかなりの種類をまかなうことができます。
 
 しゃきっとした食感や、太陽をたっぷり浴びた野菜らしい味。滋味を含んだ秋野菜は、日増しに近づいてくる冬に向けて、必要な元気を私たちの体に貯めおいてくれるかのようです。冬じゅう青空のひろがる南国であっても、氷点下まで冷え込む明け方がつづくころまで。
 
 
2014-11-01 配信
bottom of page