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Vol.23 ずうっとつづく路。
 
 海沿いに残っている、旧い町並みを抜けてゆく路。高知の西から東、東から西へ、ときおりとぎれながらもつながる「旧道」の引力には、あらがうことができません。数十年前までの面影が、まだ色濃く残っている風景。どこかへ急いでいる、というのでもなければ、ハンドルをふいっと回し、広く味けのない国道をはずれて、狭く懐かしい旧道へと入りこんでしまうのです。
 
 知るなかで、もっとも長い旧道の町並みは、南国市の十市にあります。数キロにわたるのではないでしょうか。いくつもの集落からなり、いったん家並みがとぎれては次の家並みがあらわれ、通り過ぎるだけで、深い満足をもたらしてくれる路です。
 
 ひとの住む町並みを「さまよう」などというのはおかしくもあるけれど、日常の時間とは違う、旅人の気分でさまよっているのかもしれません。路地から青い海や浜辺の小屋がちらちらと見えます。午後の(なぜか午後)陽ざしは動かずに、ただ、長く細い路を、心地よい揺れとともに過ぎゆく時間。地元の人が乗る車が、向こうから1台、2台と来るばかり。
 
 旧道のドライブへ出かけたくなるのは、空気の澄んだ秋と冬、そして春先。晴れた昼さがり。ずうっとつづく路の終わりには、再びの国道、再びの日常もまた、待ってくれているはずです。
 
2011-11-07 配信
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