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Vol.24 舞い遊んで。
 
 土佐の深い山のあいだで、いまも舞われつづけている神楽を見ました。アマテラスの女神を呼び戻す、天の岩戸開きの故事に由来する里神楽です。晩秋のお祭りに地区の神社で奉納され、舞い手もお囃子も役割を入れ替わりながら、10演目以上にわたる長時間の上演をつとめるのでした。見物客もまた拝殿にあがって座り、おなじ空気のなかで、舞と音の生みだす別世界にひたるのです。
 
 おしき(和卓)の舞は、見どころのひとつ。手に盆を持ち、全身を使ったすばやい動きで舞い、転がり、それでも手から盆を離さないという技。つるぎの舞も緊張感がありますが、おしきの舞はやはり、舞い手の緊張がふつふつと伝わって、こちらもひきこまれます。
 
 大きく動く手のひらに、吸いついたようなお盆。一枚から二枚へ、そして米粒などを乗せての熱演。ふと、ここに、この場所に、神様も降りてこられて、舞い手を励ましたり拍手したり、人間とおなじように楽しんでいらっしゃるのかもしれないと思いました。一度も落とさずに舞い終えたならば、きっとご満悦なことでしょう。
 
 代々うけついだ神楽を舞う豊かさ。まわりの山々にも似て深い誇りがあります。「祝う」ことは、これほどに大事なものなのだと教えられました。山のひとびとの、澄んだ「晴れの日」のよろこびを。
 
2011-12-22 配信
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