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Vol.36 昔お城がありました。
 
 徳川幕府が藩ごとにお城はひとつ、と決めるまでは、土佐にも各地に小さなお城がたくさんありました。戦国の世を戦ったお城が。 「~城趾」と伝えられる小山にあったのは山城というのでしょうか、どんな建物だったのか、どんな豪族や武将がいたものか、遠い時代の素人にはただ想像することしかできませんが。
 
 いつも見なれている裏山の山頂どこかにも、お城があったのだそう です。山の裾にある八幡様も、かつては城八幡だったのでしょう。2キロほど離れた隣のお城へはのろしをあげて合図をしたのか、主たちの仲はよかったのだろうか、などと想像します。戦国時代、このあたりは勢力が何度か塗りかわっているので、主もたびたび変わったのでしょう。
 
 やがて徳川の世となって、日本の津々浦々までその威信が示されていっ たとき、守ってきた城を捨てて野に降りたであろう旧勢力のひとびと。それから数百年がたち、おなじ山上からきらきら光る太平洋を見ていたのは、若い兵士たちでした。城趾の山は外国の軍隊が上陸するのを迎え撃つ砦になろうとしたのでした。それもいまは昔。この山はもうすぐ、津波からの避難所へと整備されることになっています。大いなる自然の力に、滅ぼされぬように。
 
2014-02-13 配信
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