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Vol.21 小さなおうち。
高知素材の小さなコテージが、海辺や里山、あるいは天空の集落や、栴檀の木の下など、思い思いの場所に建っていて、旅人がそんなコテージに泊まりながら、自転車で東西に長い高知県を、ゆっくり旅する――そんな日が来ることを願っています。
ひとが暮らす家は、ほんとうのところ、それほど大きな空間を必要としないのではないでしょうか。感じのいい小さな一軒家や、人が住めるぐらいの小屋、気取って呼べばコテージ、を見つけると、いつもうれしくなります。旅の宿だけでなく、高知の住人にとっても、小さな住まいは、もっと数が必要に思えるのです。
それは、農家の古い離れだったような建物。田舎の農作業小屋などに残る、むきだしの粗い土壁も、使いようによっては、小さな住まいの一部に、しっくりとおさまりそうです。建築家の手が入った新しい小さな家は、それはそれで、目を引きます。でもまだ、高知らしい素材や工法を使った、自然と調和する建築物は、そこそこ大きな家の特権のようです。
高知の風景にとけこめる、セルフビルドのこじんまりとした快適な住まいが、広がってゆくことを願います。そしてさらに、それらが、県産材や石、土、しっくいや和紙など、高知の素材を生かした家であることを。点在する小さなコテージは、風景をも変えることでしょう。あたたかい、その家にしかない個性を点灯することによって。
2011-07-11配信
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